実際の塗装工事では、専門業者でも想像出来ないような事が起きることがあります。そんなびっくり、不思議な現象についてお話ししたいと思います。
 

塗った塗料が一日たっても乾かない

ある日の午前中、建設会社の監督さんから電話がありました。「昨日の午前中マンションの鉄製ドアとドア枠のペンキを塗ったんだけれど、ドア枠のゴムのパッキンに塗ったペンキが乾かないでべタべタしている。ドアを閉めるたびにドアがくっ付いてしまって開けにくいとお客様から苦情の電話が入った」と言うのです。


私は話を聞いてすぐに見当がつきました。それで「それはゴムの可塑剤が原因です」と答えました。
塗った塗料は半日か一日もすれば乾くのが常識です。しかし乾かないこともあるんです。

ゴムを製造する際、柔軟性をもたせ特性を改善するために可塑剤を入れます。しかし可塑剤は溶解性をもっているためゴムパッキンに塗った塗料に移行して塗料を変質させ、塗料が粘る現象を起こすことがあるのです
 

それではこれをどう解決するかというと、一番簡単なのはゴムパッキンに塗った塗料を塗料シンナー(塗料うすめ液)で拭き取ることです。この現象は塩ビクロスとその上に塗った塗料、外壁のキレツを直すためのコーキング材とその上に塗った塗料との間でも起きることがあります。可塑剤と塗料の成分の相性によって起きると言われています。

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この写真の例は、外壁のキレツを直したコーキング材中の可塑剤が、上に塗った塗料に移行して、それを変質させ、そこに空気中の汚れがついたものです。最近は対策品として、ノンブリードタイプ(にじまないタイプ)のコーキング材があるのでそれを使えばこの様になることは少なくなっています。この壁の汚れを直すにはバリアプライマーを下塗りするのが有効でした。



 

 自動車カバーで車の塗装が変色ーこんなことあるの!

 

板橋区でマンションの外装工事をしたときのこと、汚れ防止のため駐車スペースに置いてあった車3台にビニール製の透明な自動車カバーをかぶせました。このカバーは工事用に塗料店などで「自動車用カバー」として売られているものです。

季節は2月で、その日の早朝に少し雨が降り午前9時には青空が出て日が射していました。夕方まで仕事をして4時ごろ車のカバーをはがしたところ、車の一部が白く変色しています。赤い車も、黒い車も塗装が一部白く変色してワックスで擦ってもとれません。

原因はカバーと車体との間にあったわずかな水分と陽の光でした。カバーの内側で水分がレンズの働きをして太陽の光で塗装が焼けて白く変色したというわけです。光を通さないシルバー色の不透明なカバーではこの現象は起きないそうで、偶然にも 雨上がり・晴天・日当たりの条件が揃ってしまいました。

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ボンネットの先端部を見てください、白くなっています。カバーが密着した部分で変色が起きています。






外壁に泡のようなふくれがいっぱい

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練馬区 アパートの例 

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中野区 マンションの例 鉄骨ALC造 
 

これは 蓄熱水蒸気ふくれ という現象です。この建物でも日が当たる東、南、西面に見られますが、北面にはまったく発生していません。

最近断熱性能が優れた外壁材が多く使われていますが、これらは熱を蓄える性質があり、太陽光にさらされるとその表面温度は60℃〜80℃になることがあるそうです。高温によって塗料の膜はやわらかくなり、外壁や塗料に含まれる水分が高圧の水蒸気に変わり塗料の膜を内側から押し上げて大きな泡のようなふくれを発生させてしまいます。このようなふくれを発生させないためには透湿性塗料(湿気を逃がすことができる塗料)を選択することが大切です。
 

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外壁の一部分              外壁のふくれ 本来の模様と異なり明らかに異常です

 

先日、塗料メーカー SK化研の研修会に参加しました。そこでこの塗膜の膨れ現象についての説明がありました。そのときの説明画面の内容は次の通りです。

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断熱性基材下地の塗り替えについて

1 下地基材(外壁材)の断熱性が高い

2 旧塗膜が厚付けアクリル樹脂塗膜 である

 この要因が重なった場合に旧塗膜内の熱軟化による膨れ現象が起こる可能性がある。

そこで遮熱による外壁温度上昇の抑制による膨れ抑制工法が一つの方法として考えられる。

太陽光にさらされた、従来塗料を塗った外壁の表面温度が60℃のとき、遮熱塗料クールタイトを塗った外壁の表面温度は45℃で、15℃の差が出る。

水が水蒸気(気体)に変化すると体積は膨張し、温度が15℃上昇すると、その体積は約50倍にも達する。

このような理由から、膨れ現象防止のため、外壁に遮熱塗料を塗ることが有効である。

 

 

 

 

 

 

ドアまわりのシールが10年経ってもベタベタ

 

 

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 マンションのドアまわりのシールです。築10年を経過してもベタベタしています。小学生のお子さんがいるので友達が遊びに来て指でほじくっていくそうで、こんなにグジャグジャになってしまいました。それでは隣のドアまわりはどうかと見てみると、ほじくれてはいませんがやはりベタベタしています。

この原因は新築施工時の硬化不良です。このシールは主剤に硬化剤を入れよく撹拌すると化学反応によって硬化が始まります。撹拌不足でよく混じっていないと硬化しなくなります。これを直すにはベタベタのシールを全部取り去り、新規にシールをやり直します。

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